きみ、きみたらずといえどもしんはしんたらざるべからず<意味>主君が仮に主君としての道理を心得ず、徳を持っていないとしても、臣下は何処までも臣下としての道を守って、忠義を尽くさなければいけないということ。
これについてまず始めに思い起こされたのが年功序列という言葉ですが、これは、「年齢や勤続年数の多少によって地位の上下をつけること」なので、若干違います。つまり、年功序列には少なくとも、年齢や経験という付加価値があるものに対して忠義を尽くそうというシステムだと思うのです。それに対して、
君、君たらずと雖も臣は臣たらざるべからずの場合は、主君の年齢、経験、能力というものは問わず、ただ主君であるだけで忠義を尽くさなければならず、非常に疑問が残ります。
昔だったら、織田信長のような天才かもしれませんがひどい暴君もいましたし、
君、君たらずと雖も臣は臣たらざるべからずを守るのはなかなか大変だと思います。
現代でも、能力主義というのが一般的になってきて、例えばライブドアの元社長なども、30歳そこそこの若さで、ちょっと偏った考え方を持ち、挙句の果てには不正をしていたかもしれないと逮捕される程ですが、それでも社員であれば社長に忠義を尽くさなければなりません。
また、王族・皇族のように、人の上に立つように生まれつく人たちもいます。その地位が尊敬に値するのであって、人物はどうでもいいということになります。ですから、「地位にふさわしくないから尊敬しない」などというのはしてはいけないということです。
君、君たらずと雖も臣は臣たらざるべからずということわざを聞いてはじめに思い出したのが、私の夫のことです。夫は、心では尊敬できない上司であっても、決して態度には出さず、上司として尊敬の態度を崩さないところが、私と違い、すごい才能だなぁと思います。サラリーマンであれば、この才能がなければやっていけないでしょう。
一方の私といえば、地位が上だというだけでは絶対に尊敬などせず、心の中ではぼろくそにけなし、最後には態度にまで出てしまうので、お話になりません。サラリーマン(OL)をやめて正解です。
君、君たらずと雖も臣は臣たらざるべからずということをまとめると、例えば皇族を尊敬しなさいというのは、昔から日本人が敬い大切にしてきたシステムそのものを侮辱することはやめなさい、ということではないでしょうか。
また、一般社会においては、いずれ自分が主君になった場合にはそれが返ってきますから、自分のためにそういうシステムを守りましょうということなのかもしれません。
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